第15回 レンダリング(おまけ)
コチョーさんのお詫び
グミ:コチョーさんが、解説がうまくできなかったとしょげてまして…。
エンディ:あいつがね。
グミ:申し訳ないと、いくつかテスト画像を送ってきてくれました。
ティーヨ:へえ、どれどれ。手紙が添えてあります。最初の3つの画像についてですね。
レンダリングしたのは、天井から下に照らすスポットライトを配置した室内のシーンです。真ん中にはガラスのクマさんが座っていて、直接ライトが当たらない椅子の下にティラノくんが隠れています。両サイドの壁は、赤と青に塗られていて、色の照り返しが分かるようになっています。レンダリング手法はレイトレーシングで、ここまで共通です。 異なるのは大域照明の種類で、左の画像からパストレーシング、フォトンマッピング、パストレーシング+フォトンマッピングを使ったものです。
|
ティーヨ:パストレーシングはわりと輪郭や影がきっちりしていますね。でも椅子の下は暗くて見えません。フォトンマッピングではクマちゃんの下にコースティクスが出ています。光は回っていますが、ちょっとトンだ感じのところがあります。
ヘイ:両方を併用したモードでは、光も適度に回って、コースティクスも出て、しっかりした絵になっています。どれがいいというわけでなく、目的や好みによって使い分ければよいのですね。
ティーヨ:こうやって見ると、フォトンマッピングの絵が優れているように感じますが、パラメータ設定でベストなものを見つけるのが難しかったりします。パストレーシングはその点、どんな設定でも大きな外れなくリアルな絵を作りだしてくれるので気軽に使えます。
ヘイ:そういう意味でも、パストレーシング+フォトンマッピングで、「簡単」に「高速」に「高い効果」を得られれば言うことなしですね。
ティーヨ:大域照明はその他にも、定評あるラジオシティが使えますし、ProfessionalグレードではCALLISTOという高機能レンダラーも備わっています。
なんとも贅沢です、Shade 10。
ドラフトレイトレーシング
グミ:Shade 9まであったスキャンラインと、Shade 10から備わったドラフトレイトレーシングの違いの実験もしてくれたようですよ。(下の4つの画像)
ドラフトワンは飲んでも、ドラフトレイトレーシングを試した人はいないでしょう。私がやってみました。使ったファイルは、製品にベンチマーク用として付いている「mirror.shd」です。3つの球が並んでいて、左から透明な球体、普通の赤の球、青いつるつるの玉です。玉の回りは鏡で覆われています。 レンダリング方法は、一番左の画像からShade 9のスキャンライン、Shade 10のドラフトレイトレーシング、レイトレーシング、レイトレーシング+大域照明(パストレーシング)です。
|
グミ:手紙でもボケてますね。でも、発売前だから新機能を試してくれるのは助かります。
ティーヨ:えーと、一番左のスキャンラインでは透明体はレンダリングされません。落ちている影はシャドウマッピングによるものです。もちろん、鏡にも映りません。鏡に映ったら鹿の顔になったりもしません。
ヘイ:(何言ってんだ)青い玉の反射もちゃんと表現されていないですね。
グミ:では、次。左から2番目のドラフトレイトレーシングの画像にいきましょう。
ティーヨ:透明体と青い玉のフレネル反射(※)がきれいに表現されています。
でも屈折の表現はないですね。鏡にも映りません。鏡に映ったら…。
グミ:もういいですよ。
ヘイ:影はちゃんとしたレイトレーシングの影ですね。
ティーヨ:その次、右から2番目は普通のレイトレーシングの画像ですが、やっと燃えよドラゴンになりました。
ヘイ:それじゃ分かんないでしょう。周りの鏡に玉が映っています。また玉にも風景が反映しています。透明な玉を透してみえる景色はちゃんと屈折しています。
ティーヨ:一番右のが大域照明にパストレーシングを使ったものですね。光が回り込んで断然きれいです。これぐらいのシーンであれば最初から一番きれいになる手法を使えばよいのですが、複雑なシーンになるとまずはドラフトレイトレーシングでチェックして、という必要もでてくるんですね。
|