開発者からのメッセージ〜その2
使いやすさを追求したアニメーション機能〜開発者からのコメント
イーフロンティア 開発部 Shade開発課 高取 研
アニメーションを作りたくなる新機能
これまでのShadeシリーズにも基本的なモーション設定機能は搭載され、目的に応じたアニメーションを作成することができました。
しかし、複数の形状が連動して動作する場合や、キャラクタアニメーションなど、複雑なモーション設定が必要になる場面では
膨大な手間と時間が、かかってしまっていました。
そこでShade 8シリーズでは、アニメーション作成の際に作業時間を多く取られる工程に注目して開発を行いました。
キャラクタアニメーションを強化するスマートキネマティクスや、多様な関節の連動構造に応用できるエイムコンストレインツをはじめとした
新機能、改善点によって、これまでは実現が困難だったモーションを手軽に作成することができるようになっています。
開発にあたって心がけたこと
今回のアニメーション機能の拡充は、以前よりユーザからの要望が大きかった機能を中心としています。
個人的な話ではありますが、入社前にShadeを使っていたころから欲しかった機能も多いため、
操作をするときの便利さを第一に考えて開発しました。
(中には余暇中にプロトタイプを作り、開発課内で仕様検討した上で搭載させてもらった機能もあったりします)
いままでにもアニメーションを制作されていた方から、これから挑戦してみようという方まで、
Shade 8シリーズの新機能を活用していただければと思います。
使いやすさを追求したアニメーション機能〜機能紹介
→アニメーションに関する新機能をもっと詳しく見る
スマートキネマティクス(professional/standardに搭載)
スマートキネマティクスの設定(ムービー)
キャラクタのポーズ付けのときに、腰を動かして、膝を動かして、足首を動かして・・・といった作業の多さに辟易していませんか?
はたまた、せっかく一連のキーフレームを打ってモーションを作ったのに、キーフレーム間で足の位置が滑って定まらないことは?
スマートキネマティクスはこんな問題を一挙に解決します。
設定は簡単。いままで通りキャラクタのジョイント階層構造を作った後、キャラクタのルートと
IKゴール、エンドジョイント(主に接地点)に属性を設定するだけ。
これまでは階層構造の下位から上位に向かってしか動かせなかったインバースキネマティクスが
下位を固定して上位を動かすような操作にも対応します。
たとえば、腰のジョイントを下に動かすだけでしゃがむポーズをとらせたり、手先のエンドジョイントを引っ張って
体全体の重心を移動したり・・・作業の手間が大きく削減されるでしょう。
設置機能を用いた足下の滑らないモーション(ムービー)
さらにモーション設定を完了した後にもスマートキネマティクスは活躍します。
クリーンナップ機能を使えば、キーフレーム間のモーション補間による足の滑りや沈み、浮きを補正することが可能です。
操作もクリーンナップ実行ボタンを押すだけ。動きを固定すべき点、フレーム単位の補正量を自動で計算して記録します。
その効果はモーションプレビューやシーケンスのトラッキングですぐに確認できます。
これでフレーム単位の細かな調整から開放されます。
他にも接地スナップ、エンドジョイントの角度方法の設定など、便利な機能が搭載されています。
これからキャラクタ作成をするときにも、以前作成したキャラクタにモーションを付けるときにも
スマートキネマティクスはあなたの作業を強力にサポートします。
エイムコンストレインツ(professional/standardに搭載)
エイムコンストレインツ設定
エイムコンストレインツはジョイントを常に任意のオブジェクトの方向に向ける機能です。
たとえば、飛び回る虫に目線を固定して、虫の動きに目の動きを合わせるような動作や、
燃え盛る炎の動画素材を板ポリゴンにマッピングして、カメラの方向に正対して立体物のように見せるときに使用します。
しかし、この機能の使用用途はそれだけではありません。
パワーショベルなどの重機に必ず用いられる油圧シリンダーと関節の動きの連動、
ドアの開閉とドアストッパーのアームの動きの連動なども関節の向きを合わせることで再現することができます。
ひとつのジョイントの制御だけではなく、階層化されたジョイントをインバースキネマティクス演算で
一連の繋がりとして指定することもできます。
これにより、動物の尻尾の先端の位置をパスで指定してモーション作成したり、果てはクランクシャフト機構のような
複雑の構造も作成可能です。
単純ながら、静止画、アニメーション、制作ジャンルを問わず、応用次第であらゆる用途に使用できる
エイムコンストレインツをぜひお試しください。
モーションウインドウ
刷新されたモーションウインドウ
キーフレーム操作と、シーケンスコントローラとしてまとめられていたシーケンス操作が統合され、
モーションウインドウが一新されました。
アニメーション設定もサブウインドウとなり、各項目を効率よく設定できるようになっています。
モーションプレビューのフレームスキップ対応
フレームスキッププレビュー
モーションプレビュー再生時にコンピュータの性能に応じて表示フレームを間引くことで、
レンダリング後のムービー再生と同じ速度でプレビューできるようになりました。
モーションの速度やタイミングの確認では大きな効果を発揮するでしょう。
従来のアニメーションプレビューと比較してみてください。
キーフレームグループ機能の向上
モーショングループの操作(ムービー)
グループ登録した複数のキーフレームをモーショングラフ上でまとめて選択したり、
グループ情報を崩さずに編集することができるようになりました。
モーションの繰り返し設定もより簡単になっています。
パスジョイントの等速移動
ジョイント値がベジェ曲線のパラメータに対応していたため、コントロールポイントの細かさによって
物体の速度が変わってしまっていたパスジョイントが、等速移動に対応しました。
これによって、物体を一定速度で動かすことができるようになりました。
また、パスジョイントで動かしている物体にカメラを連動させることで、フライスルーを作成するときに
カメラの移動速度を一定に保つことも可能です。
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