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 Shade 9一目瞭然

特別編:CGクリエイター後藤克典氏、Shade 9を使う(前編)

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後藤克典
3DCGクリエイター。長野県在住。Shadeによる航空機3DCGモデラーの草分け的存在。
『超精密「3D CG」シリーズ ドイツ空軍』、『CG世界遺産「古代エジプト」』(いずれも双葉社)など著作多数。
URL:http://homepage3.nifty.com/aircraft/
    http://homepage2.nifty.com/world_heritage/

CGで何かを創る。最初の頃は私も「何かを作る」ことに集中して、例えば「車」「パソコン」「飛行機」「椅子」etc。
これは言ってみれば製造業で、物作りを目的にしていますが、しばらくして制作に慣れてくると、物を使う側に目が向くようになり、連想すれば「車=走る」「パソコン=オフィス」「飛行機=空」「椅子=食卓」などと勝手に連想してその場面を作りたくなります。
絵を描く時でも、CGで絵を創る時でも同じだと思いますが、「伝えたいテーマ」が有って、そのテーマを伝える「中心的な物」とその物を演出する「周辺の環境」があります。そして「周辺の環境」のデキしだいで「中心的な物」が引き立つ度合いも違ってきます。なので、作りたい物にパワーを集中しつつ、できるだけ手間をかけないで、クオリティの高い「周辺の環境」も造る、ということが、効率の良いCG制作につながります。

今回は現在制作中の私の実際の仕事(双葉社 CG世界遺産 古代ギリシャと世界の7不思議 」)の場面でのシーン制作を簡単に紹介したいと思います。

【ペルセウスの物語について】



最初にギリシア神話に登場するペルセウスの物語に少しだけ触れます。

ペルセウスは、セリポス島のポリュデクテス王に育てられたのですが、ペルセウスが成人すると、諸事情によって邪魔になり、彼を殺そうと企みました。

そしてペルセウスは、怪物メドゥサを退治に行くはめになりました。メドゥサと言えば、一目見た者を石にしてしまう化け物で有名です。

幸い、ペルセウスはアテナとヘルメスに可愛がられていて、アテナは楯を貸してくれました。ヘルメスは翼のついた飛行靴を貸してくれました。そしてもう一つ貸してくれたのは、金の新月刀でした。これは、世界で唯一、メドゥサの首を切ることができる鋭利な刀です。

そしてヘルメスはペルセウスに、「あと二つのものが必要だ。」と告げました。ペルセウスはその二つの物を求めて老女グライアイのところまで、飛んで行きました。彼女たちは、三人なのに、一つの目と一つの歯しか持たず、それらを、交代で使っていました。

ペルセウスは、グライアイたちから上手い事、目を取り上げそれと交換に、求める物の有り場所を聞き出しました。

一つは、隠れ兜という冠ると周りを闇が包み、見えなくしてしまう兜です。もう一つはキビシスという袋で、この魔法の袋だけが、メドゥサの毒に耐えられるのです。

ペルセウスは、メドゥサに睨みつけられると石になってしまうので、メドゥサが眠っている間に、近づき、アテナから借りた盾にメドゥサを映し、メドゥサを直接見ないようにして首を落としました。

そのとき、飛び散るメドゥサの血から、生まれ出たのが、天馬ペガサスです。


【シーンと演出を考える】

さて、この物語から1つのシーンを作るのですが、シーンとしては「メドゥサの首を打ち取り、ペガサスが生まれたところ」が盛り沢山で良いかな。ということにします。

このシーンで「中心的な物」は「メドゥサの首を持つペルセウス」として、「脇役」がペガサスで「周辺の環境」は不気味な感じの岩場のような場所。ということに決めます。

そのように決めて早速制作に掛かるのですが、どのようにソフトを使って作るかをまず最初に考えておきます。

今回最終的なレンダリング作業は、レンダリングスピードが高速化されたというShade 9を使ってみたいので、

  1. 背景はVUEの地形を使って、形状とテクスチャをWavefrontOBJで書き出す
  2. ペルセウスとペガサスとメドゥサはPOSERを使って作る(これは作ると言っても先日試しに購入したフィギュアパックの「KOJI」とPoserに最初から入っている「ケイトの頭に蛇」、「馬」にShadeで羽根を付けるだけ)
  3. それら以外のパーツ、「隠れ兜」「金の新月刀」「キビシス」「衣服」「飛行靴」などはShadeでパーツとして作る
  4. あっ、「KOJI」は日本人的容姿なので、Shadeで金髪を作り、グラフィックソフトで目の色を青くする
  5. 全てのデータをShadeに統合してライティングし、パストレーシングでレンダリングして完成

という手順で進めることにしました。

では制作過程をご覧下さい。

まず、PoserでKojiを読み込み、ポーズを決めます。ポイントとしては右手に新月刀を、左手にメドゥサを持たせますので、そのようにポーズを付けます。派手な格闘シーンではないので、それ以外はほぼ素立ちです。そのまま保存します。

01_poser

次に、Shade 9のPoserFusionを使って今作ったペルセウスを読み込みます。そのペルセウスの背後に、背景となる岩場を簡単に作り、

02_shade.gif

この岩場の形状を一端WaveFrontOBJで書き出します。

03_shade.gif

次に、Vueのオブジェクトの取り込み機能を使い、今保存した岩場の簡易形状を読み込みます。

04_Vue

その形状をアタリとして、地形オブジェクトを新しく配置して大きさを調整します。この地形は、上から見るとL字型ですので、Vueの地形編集機能でそのように地形を整えます。

05_Vue

この地形は、OBJファイルとしてテクスチャも一緒に書き出す事ができますので、納得できる形に調整できたらWaveFrontOBJで書き出します。

06_Vue

添景として岩石も追加して、同様に書き出します。

07_Vue

このデータもShade 9に読み込みます。PoserFusionとは違い、このVUEから書き出したデータはマッピングされていませんので、同時に書き出されたイメージマップとバンプマップを使い表面材質設定します。これでバッチリです。

08_shade
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次回は
特別編:CGクリエイター後藤克典氏、Shade 9を使う(後編)
掲載は、12月22日(金)の予定です。

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