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 Shade 9一目瞭然

インターフェース回りを大きく改良したり、満を持してとも言うべき機能追加を行ったりと、大幅な進化を遂げたShade 9ですが、それだけに乗り越えなければならない開発上のハードルも高かったのではないでしょうか。今回は、Shade 9誕生に携わった開発チームのみなさんに、今だから話せるShade 9開発にまつわる秘話をインタビューしました。
(聞き手:BNN新社 西脇 功)

※本インタビューは2006年12月28日に行われました。

西脇:みなさん、Shade 9リリースお疲れさまでした。今回のバージョンアップでは、レンダリングスピードアップ、使い勝手の向上、大きな新機能の追加など、盛りだくさんの内容ですので、リリースまでの道のりは平坦ではなかったのでは、と思います。今日は、そんなShade 9開発にまつわる苦労話や自慢話などを、公開できる範囲内で聞かせていただきたいと思います。まず、今回のShade 9の開発には何名のエンジニアの方が参加されたのでしょうか?

米木:米国チーム2名と日本チーム8名です。今回のShade9開発は、チーフエンジニアの時枝とCTOのサニーの米国チームが全体を統括し、日本チームが個別機能の開発を担当しました。

西脇:古くからShadeを知っている人にとっては、Shadeは時枝さんが開発の要という印象が強いと思うのですが、今回は日本チームがこれまで以上に主要部分の開発に携わった、ということでしょうか。

米木:そうですね。Shade 9では、先ほど西脇さんが言われたように機能強化や機能追加が大きなアピールポイントになるのですが、我々開発サイドとしては、それらを実現することがより容易になったShadeの内側での進化が今回のShadeの最大のアピールポイントだと思っています。

西脇:なるほど。Shade 9の機能強化ができたのも、その「内側の進化」あってこそ、というわけですね。では、その「内側の進化」についてお話しいただけますか?

米木:一般のユーザーの方にはあまり関わりのないことですし、機密事項の部分もありますのでかいつまんで申し上げますと、今回のバージョンアップに臨んでShadeの各機能を細くわけてライブラリ化しました。これまでも同様の手法はとっていたのですが、今回は取り扱える機能をより細く分類し、これまで以上に多くの機能をライブラリ化しています。またこのライブラリのクロスプラットホーム化も行いました。

西脇:そのライブラリ化にはどんなメリットがあるのでしょうか。

米木:機能ごとのライブラリを利用することで、エンジニアがShadeのあらゆる部分の機能にアクセスできるということです。これにより、各機能毎に専門のエンジニアが機能の強化や追加を容易に開発することができるようになりました。また、クロスプラットホーム化によって、一つのコードでMac版、Windows版の両方に対応できますので、開発工程が短縮でき、その分のマンパワーを機能のブラッシュアップに振り分けることができるようになりました。

西脇:それぞれの分野のエキスパートが機能開発に携われるようになったということですね。

米木:その通りです。このライブラリ化によって、Shade 9では時枝以外のエンジニアがレンダラーやインターフェイスなどShade本体のブラッシュアップを行うことが増えました。今後は、これまでにない機能の追加や、最新技術への対応を迅速にしたりすることが容易にできるようになります。

西脇:今回のShade 9でこのライブラリ化が機能強化に貢献した具体例を教えていただけますか?

米木:そうですね。ほんの一例ですが、レンダリングスピードの向上やプレビューの改善は分かりやすい事例です。レンダリングスピード向上には空間分割を見直して無駄のない計算ができるようにコードを修正しています。プレビューでは最新のビデオカードに対応したOpenGLに強化しています。これらの機能向上は、レンダリング、OpenGLそれぞれ専門のエンジニアが開発に携わることで実現しています。

西脇:なるほど。個別の機能はそれぞれの専門分野のエンジニアが開発できるようになったと。そして機能開発の負担が軽減された分、時枝さんはShadeの中長期的な開発構想に専念することができるようになるわけですね。では、最後にShadeがこれからどのような進化を目指しているのかをお聞かせください。

米木:まずはネットワーク機能の本格的な稼働を目指します。具体的には現在試験運用中のShade Gridレンダリングサービスの正式運用を2007年前半には開始したいと考えています。「パーソナルな環境で最高のパワーを提供する」のがShadeのテーマの一つですから。そして、より多くのCGソフトウェアと連携できるようにしていきたいと考えています。イーフロンティアにはPoserやVue、そしてAmapiといった強力な3DCGソフトをラインナップしています。これらのソフトとの連携を強化することで、より表現の豊かな3DCGをロープライスで実現できる環境を整えていきたいと思います。

西脇:本日はどうもありがとうございました。

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