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Shade



SPEEDフォーマット開発秘話

第二回
パラメトリック変形の実現

前回は建築CAD部品向け新フォーマットの用件として、パラメトリック変形というものがあることをご紹介しましたが、今回は具体的にどのようにShadeで実現したのかをご紹介したいと思います。 まず最初にパラメトリック変形を次の2種類に分解して考えることにしました。

  1. 基本的な形状はそのままに特定部分が伸縮する数値パラメトリック
  2. 形状のデザインそのものが大きく変化する形状切り替え

一つ目の数値パラメトリックの実現方法を検討していると、伸縮する部分の一端を固定して、もう一端を移動させればよいということに気がつきました。Shadeには旧来からジョイントという形状を移動したり変形させたりする機能を持っています。しかし、ジョイント単体では形状単位でしかコントロールすることができません。そこで、あるスタッフに相談すると「スキンを使えばできるんじゃないですか?」とアイデアをもらうことができました。

そもそもパラメトリック変形って何?っという方も多いと思います。簡単に説明すると、パラメータ(数値などの値)をユーザーが指定するとそれに応じて形状が変形する機能です。住宅に使われる建築部材や設備機器は、サイズや組み合わせが非常に多くあり、これらを一つずつ部品として製作しようとすると膨大な量が必要となってしまい現実的ではありません。

このスキンという機能は、名前が示すようにキャラクターの関節などをジョイントを使って滑らかに変形させることを主な目的としており、頂点ごとにジョイントによる影響の度合いを設定することができます。この機能を応用して図のように直線移動ジョイントを作成し、固定する側の頂点のスキン設定を0.00、移動する側を1.00とします。そしてジョイント値を変化させてみると、見事に形状を伸縮させることができました。

スキン機能は、複数のジョイントを合成させることもできるため、幅、高さ、奥行などのジョイントを組み合わせることで更に複雑なパラメトリック変形が可能となります。

パラメトリック変形の実現

次は二つ目の形状切り換えについてです。例えばドアの取っ手のデザインをパラメータで複数のタイプから選択するといったケースがこの種の変形です。ただ、この課題を検討している段階では、Shadeにはこれを実現する仕組みが見つかりませんでした。そこで搭載されたのが、Shade 10の新機能の一つである「スイッチジョイント」です。スイッチジョイントの中に複数の形状を入れることで、順番に切り換えるというシンプルなものですが、SPEEDフォーマットを実現する上で既に必要不可欠なものとなっています。

このように2種類のパラメトリック変形の実現方法が見つかったことで、SPEEDフォーマットの仕様検討が一気に加速することになりました。


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