第11回 フィジカルスカイ（Shade 13 新機能）
第11回 フィジカルスカイ（Shade 13 新機能）
長らくお待たせいたしました。「開発部より」第11回です。今週からこの記事も不定期連載が再開いたします。Shade 13の発売までは、数回にわたって新機能紹介の補足などを中心に進めて行きます。
フィジカルスカイ (Standard、Professional)
フィジカルスカイ(Standard、Professional に搭載) は、既に こちら でも紹介されていますが、実際に日照シミュレーションを使用されている方のご意見も取り入れ、特に議論が重ねられた部分です。反響も大きかったのでもう少し詳しく説明します。
フィジカルスカイは大きく別けると、二つの機能に分類されます。「(1) 場所・日時から、実際の太陽に合わせて無限遠光源の位置を設定する機能」と「(2) 光源(太陽)の位置から、大気の様子をシミュレーションする機能」の二つです。これらは個別にオンオフできるので、状況に応じて組み合わせて使用します。
太陽位置と「真北」の設定
太陽の位置や色だけが必要な場合は、大域照明を使わないレイトレーシングのみでも十分です。「光源の色」は、無限遠光源の色を変化させて、夕焼けになるに従って光源の色が赤くなるような様子を再現します。また、背景に「霧」や「雲」を重ねている場合に、太陽の位置に従って、暗くなるような簡易な補正をかけることができます。従来からの背景設定では、背景色のアニメーションなどは出来なかったので、部分的ですが動作を改良した箇所です。
「真北」の指定は、強く要望を受けた部分で、シーン内の形状から真北の方向を任意に定義します。常に図面の上方が北を向いているわけではありませんので、実際に図面を読み込んだ時にも簡単に作業を始めることが出来ます。
大域照明(パストレーシング)との併用
加えて、大域照明を使えば、IBL によるリアルな表現が可能です。この時の背景についても、ガンマの設定が可能になっていますので、ここも最終出力に合わせて設定します。 ( こちら のイメージガンマの説明も参考にしてくだい。)
ちなみに、パノラマでレンダリングすると、HDRI 素材を作ることも出来ます。保存した HDRI画像を読み込み、大域照明（パストレーシング）を使ってレンダリングすれば、Shade 12 などの旧バージョンでも簡単にフィジカルスカイの雰囲気を試していただけるかと思います。
以下から、Shade 13で背景のみをレンダリングしたexr画像をダウンロード出来ます。（zipで圧縮されています）
Shade 12などで使う場合は、背景に適用した後、色補正ウインドウでガンマを2.2に設定、背景ウインドウの「光源としての明るさ」や、無限遠光源の位置・明るさを調節すると、フィジカルスカイのような効果を出すことが出来ます。こちらの記事なども参考にしてください。
※ 追記 (2012/3/13)
Shade 13に搭載されるフィジカルスカイによるシミュレーションは、無限遠光源との併用を前提としています。そのため、「太陽」の設定やフィジカルスカイによる「背景に描画」と「光源の色」を有効にすると、１番目の無限遠光源が太陽と見なされ、それぞれ無限遠光源の方向と色が編集出来なくなり、自動で計算されるようになります。
上記ダウンロードにあるHDR画像をShade 12で背景として読み込んでレンダリングを行う場合、大域照明(パストレーシング)を有効にして背景によるIBLを有効にするとともに、無限遠光源の位置、明るさ、色などを適宜調節する事が必要です。
時刻の変化
「大気」の値: 0.1、0.5、0.95
今回の新機能に合わせて、従来よりも背景ウインドウのプレビュー画面を広くしました。およそ180 度の範囲が 表示されるようになり、特にフィジカルスカイや HDRI 背景を使用している場合に確認しやすくなっています。
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