- Shade ユーザー訪問記
- 第18回:マンガ家 寺沢武一先生
- 第17回:イラストレーター 富崎NORIさん
- 第16回:ベスタクス 平林孝介さん
- 第15回:hinemaru(Tully発売)
- 第14回:スーパーソフトウェア
大津陽平さん - 第13回:喜多見康先生
- 第12回:
ファイン 一階麻莉子さん - 第11回:坪井弘貴
- 第10回:山本正記先生
- 第9回:IKEDA(後)
- 第8回:IKEDA(前)
- 第7回:hinemaru
- 第6回:後藤克典
- 第5回:綿製タオル
- 第4回:木村卓先生(後)
- 第3回:木村卓先生(前)
- 第2回:園田浩二(後)
- 第1回:園田浩二(前)
【2008年1月16日】 第7回:hinemaru氏対談インタビュー
~誰もがすばらしい作品を作れる可能性がある。いい時代になったなと思います。~
今回のShadeユーザー訪問記は、Shadeヘビーユーザーの一人で、愛らしいキュートな顔とふっくらとした量感のボディを持つ魅力的な美少女キャラクターを描くhinemaru氏に注目。
hinemaru氏のShadeとの出会いや作品制作の秘訣について取材させていただきました。
(聞き手:西田)
CGとの出会い
Shade8.5+Poser 6バンドル (2006年3月10日発売) ※現在は販売終了しています。 |
――まずはShadeとの出会いについて聞かせていただけますか?
たまたまNHKの「デジタルスタジアム※1」という番組を見て動画制作に興味を持ちました。それで、私も作ってみようとロボットと娘が戦うといったコメディ作品を思いつきました。ロボットは3Dで作ってみようと考え、お店に行ったら、ちょうどShade 8.5とPoser 6のバンドル版が出ていたので、早速購入させていただきました。
最初は自由曲面がよく分からなくて、ポリゴンでロボットをモデリングしていました。
それと平行してPoserもいじり始めましたが、そのうちにリアルな造形の付属のフィギュアより、Mikiとテライユキの中間くらいのデフォルメ具合を狙ったオリジナルキャラクターを作りたくなってきたのです。
そこで、Shadeユーザーであられるぽんさんのフル自由曲面で作成されたキャラクターのメイキングが公開されていたので、それを参考にモデリングを始めたのです。
気がついたら、ロボット作品のことはすっかり忘れて女の子作りにはまっていました(笑。
「ウミガメちゃん、こんにちは♪」
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そうこうしているうちにだんだん形になってきたので、女の子に亀を加えた作品を思いついて、さっそくShade画像投稿機に投稿してみました。
――すごいですね。初投稿作品にしてこのクオリティ。シンプルな構図ですが、星空の光を受けた海の青色が人物の肌色を際立たせて、とても印象的で美しい作品ですね。
作品制作のコツや、気をつけていることなどがあるのでしょうか?
顔がやっぱり難しいですね。目や鼻、口などの個々の造形に加えて、配置のバランスに気を使います。
また、3Dをやるようになってから、立体として顔を見るようになりました。目の下に涙袋というところがありますよね。今まではその存在すら知らなかったのですが、この部分が顔の魅力のかなりを左右していることに気がついて、最近はすごく気を使っています。
――なるほど。確かに主題が人物ですと、顔は一番注目するところですよね。しかし、hinemaruさんの作品の女の子はボディも大変魅力的ですが、そちらではどんな点に気を使われていますか?
やっぱり胸です(笑)。
この部分はどうしても個人の好みが入ってしまうのですが・・・
でも皮膚などはしっとり感をだすためにテクスチャーを随分といじりましたね。
――そのほかに気をつけているところはありますか?
最近は制作時間の半分くらいはライティングの調整に使います。目へのハイライトの映り込みや鼻の陰影具合などに気を使っています。
それと、メインの光源は被写体の下から当てているのが多いですが、顔の表情がちょっとエキゾチックに見えるんですね。逆にどんな方向に当ててもそれなりに見えるような顔の造形がこれからの課題なのですが。
――ライティングは、作品の雰囲気をもっとも左右する要素ですからね。
ところで、こうして作品制作にShadeを使われるようになったわけですが、今後、Shadeを使って挑戦してみたいことは何ですか?
初心に返って動画を作りたいですね。
動画を作る際にはレンダリング時間を短くするために光源を減らすなど、静止画作品には無い工夫がいるので、色々と試行錯誤を繰り返しているところです。
今、ニコニコ動画※2などの動画投稿サイトが人気ですが、個人のクリエイターがさまざまな形で作品を発表、交流しやすくなっていて、とても面白い時代なってきたなあと思います。自分もそんな輪に加わりたいですね。
これからの作品公開のカタチ、クリエイター同士の交流
デザインフェスタ hinemaru氏ブース |
――作品の発表の場についてはここ数年で大きな変化がありますね。作品の発表については他にどのようなことをお考えですか?
デザインフェスタvol.27※3にShadeユーザーの貴房さんと参加したのですが、とても新鮮で刺激的でした。
私のようなリアルとデフォルメの中間あたりのキャラクターの3D作品は、これまでこういった場での発表がほとんど無かったようなので、お客さんたちの反応がとても面白かったです。
外国からいらっしゃった方からも感想を頂けたり、大変有意義なイベントでした。
――先ほど、画像投稿機での投稿作品の話が出ましたが、「画像投稿機」は、昨年10月より幅広いジャンルとユーザー層の方に利用していただけるよう「artist side」として生まれ変わりました。こういったコミュニティサイトやSNS・・・ネットでの作品発表の可能性については、どう思われますか?
ネットのおかげで世界中へ自分の作品を発信できるようになりましたが、今後はこういったサイトで国外の方との交流も増えていければいいですね。
artist sideをはじめ、国内の多くの作品投稿サイトも国内に限定せず、多言語化できればより面白くなるんじゃないでしょうか。
最新のartist side投稿作品 「今年も会えなかったなあ~」 |
――最後に、CGの魅力とこれからShadeをはじめる方へのメッセージがあればお聞かせ下さい。
3DCGは工夫次第で1万~10万円以内の予算で、ハリウッドレベルの作品ができるところまで来ましたからね。
誰もがすばらしい作品を作れる可能性があるこの状況に加え、artist sideなどネットにおいても作品発表しやすい環境が整いつつあり、本当にいい時代になったなと思います。
作品製作に興味がある方は、是非とも挑戦してみていただきたいです。
でも3DCGとはいっても、最終的にはフレームで切り取られた絵なので、構図や配色などにも気をつけています。自分の場合はここでいつもつまずくわけですが(笑。
――あ、それは重要ですよね。 CGだからといって作品の構成力が試されることには変わりませんからね。これからCGをはじめる方も十分気をつけて、作品制作にとりかかってくださいね。
本日はありがとうございました。
関連リンク
- 【Shadeユーザー訪問記】
第15回:3DCGクリエイター hinemaru
『Shadeアンロックデータ集 -Tully (タリー)-』の生みの親であるhinemaru氏にお話を伺いました。 今回は、どんなお話になるのでしょうか。 - Shadeアンロックデータ集 -Tully (タリー)-
製品情報
hinemaru氏が制作したExtraCute Tully(タリー)の人体、衣装、ポーズを収録したアンロックデータ集。 人体データに加え、ポーズデータや、普段着、学生服、ナースなどの衣装データも収録。
アーティストプロフィール
hinemaru
Shadeを使ってキャラクターを中心にした作品制作を行っているクリエイター。
東京都出身。
本業は、グラフィックデザイナー。たまにイラストなども手がける。
可愛らしさと美しさを併せ持つ、ほど良くデフォルメされた美少女キャラクターを描く。
Webサイト:http://web.mac.com/hinemaru/
※1 デジタル・スタジアム(digital stadium)・・・、NHK衛星第2テレビジョン(BS2)などで放送中のテレビ番組。略称デジスタ。 キュレーターと呼ばれる審査者が応募された動画、インスタレーションなどの作品の中から毎週数作品を選んで紹介・審査しベストセレクションの選出を行う。
※2 ニコニコ動画・・・ニワンゴが提供している動画共有サイト。ユーザーが投稿した動画上にコメントを投稿、表示できるようになっている独特のコメントシステムを備えている。投稿された動画の中には、非常に人気を集めるもののあり、独自の文化を築きつつある。
※3 デザイン・フェスタ(DESIGN FESTA)・・・1994年より毎年2回開催される大規模なアートイベント。 世界中のあらゆるジャンルのアーティストが集まり、自由な形式で作品を発表する。展示だけでなく、アーティストの作品の即売も行われる。
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