- Shade ユーザー訪問記
- 第18回:マンガ家 寺沢武一先生
- 第17回:イラストレーター 富崎NORIさん
- 第16回:ベスタクス 平林孝介さん
- 第15回:hinemaru(Tully発売)
- 第14回:スーパーソフトウェア
大津陽平さん - 第13回:喜多見康先生
- 第12回:
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- 第10回:山本正記先生
- 第9回:IKEDA(後)
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- 第5回:綿製タオル
- 第4回:木村卓先生(後)
- 第3回:木村卓先生(前)
- 第2回:園田浩二(後)
- 第1回:園田浩二(前)
第17回:イラストレーター 富崎NORIさん
~創りたい、その想いがすべての原動力~
【2010年08月20日】
Shadeカリスマアーティスト作品集でおなじみの富崎NORIさんが個展を開かれるということで、Shade 11イメージキャラクターのChanさんとともに、渋谷のポスターハリスギャラリーに行ってきました。
(聞き手:たきざわ イーフロ文芸部)
きっかけはトイ・ストーリー
――Shadeを使うようになったきっかけを教えてください。
学生の時は映画を撮りたかったんです。でも、当時は彫りの深い顔、逞しい体の俳優(グラマーな女優)が派手な身振り手振りで活躍するハリウッド映画に影響されていた私は、端正だけど派手ではない日本人の顔と華奢な体型では、同じ土俵に立つのは難しいなあと。
それが、「トイストーリー」や「アンツ」「バグズライフ」などのフル3DCG映画を見た時、顔の表情や身振り手振りに国境がないことに感動したんです。
そこでMacを買って、当時安くなったばかりのShade Personalを買いました。作品はとりあえず、職場の同僚とか身の回りの人に見せていました。その頃、個人で3DCGを作っている人なんてそんなに多くありませんでしたから、見せた人からは「すごいね」って言葉をもらいましたが、その先は、何もなかったんですよ。身近な人に見せて、ちょっと褒められて、それでおしまい。当時LightWaveの動画で有名になっていた青山さんのような作品もマシンスペック的に作ることができず、ちょっとした壁にぶつかっていましたね。
――その壁を打ち破るために、どのようなことをしたのですか?
その頃よく聴いていた音楽に「自分から動かないと変わらない」というメッセージの歌があったんです。それで目が覚めた、と言いますか……、一歩を踏み出すのは自分しかないんです。
もちろん不安はありましたが、何かを手に入れていたわけでもないので失うものはなかったですし、どんな方向に飛び出してもいいんだと思ったら、一歩踏み出すのも怖くなくなりました。
といっても、そんなに派手なことをしたわけじゃなくて、雑誌に投稿して掲載されたとか、そんな程度なんですけどね。
でも、その掲載された作品に目を止めてくださった企画会社の方から連絡があって、おもちゃのパッケージの絵とか、トレーディングカードの絵とか、そういったものを作るようになりました。福岡で営業として働きながら、夜と休日に制作をして東京に成果物を送る、そんな毎日でしたね。
上京、そして独立を支えた「想い」
トーキングヘッズ叢書(TH Series) No.42 「ドールホリック~機械仕掛けの花嫁を探して」表紙
――会社ではデザイナーだったわけではなく、営業をされていたんですか?
そうなんですよ。会社のMacを触ってると、怒られましたよ。営業のお前はそんなことするな、って(笑)
でも、創ることへの夢がどうしても捨てられなかったんです。副業で創るのではなく、本業として創りたかった。だから、会社を辞めることにしました。その話をしたら、制作の仕事をくれていた東京の企画会社が「ウチに来ないか?」と言ってくれて。それで、2001年に上京しました。
でも、欲張りなもので、創ることを本業にしたものの、やっぱり不満はあったんです。会社の一員としてつくる創作物も、版権ものを3DCGで描く仕事も最初は嬉しくて仕事していましたが、だんだん自分のオリジナルを作りたい欲求が強くなり、2005年に独立しました。
――今のスタイルに行き着いた経緯は?
自分のオリジナルを追及していたときの最大の壁は、いわゆる「不気味の谷」でした。リアルさを追求していって、ある時点から不気味に見えるという……99.9%リアルにできても残りのたった0.1%が違うと、それで全体がおかしく見えてしまうわけです。
それと、映画を作りたかった、という部分に繋がるのですが、物語性のある世界を作りたいと考えていたので、物語の語り部というか、登場人物が必要でした。
これを克服しようとしていろいろ工夫していたのですが、結局、リアルさの追求だけでは楽しくなかったんですね。好きなものじゃないと筆が進まなかったので、それならもう、とことん自分の趣味に走ってしまえばいいじゃないか、と。そんなわけで、展示会に行ったり雑誌を見たりと、もともと好きだった「球体関節人形」と「ゴシック&ロリータ」、そういった「好きなもの」を一緒にしちゃいました(笑)
でも、そうやって自分が好きなものだからこそ、続けられたと思うし、オリジナル作品になったんじゃないかと思っています。
――その創作へのパワーは、どこから生まれるのですか?
どこからでしょう?(笑)
好きなモチーフだから続けられた。ということと、自分が創ったものを人に見てもらって、驚いてもらったり感動してもらったりするのが、単純にうれしいんです。やっぱり、作品を好きだと言ってくれる声が一番うれしい。そういった声のお陰で続けることが出来ています。
――最後に、これからクリエーターを目指す人たちに、ひとことお願いします。
恥ずかしがらずに、自分が好きなものを追求し、自分から動いてみてください。そして、壁にぶちあたり悩んだ時が、次にステップアップできるチャンスかもしれません。
アーティストプロフィール
富崎NORI
1968年2月28日、福岡市生れ。東京在住。 パッケージ業界、アニメ関連の企画会社を経てフリーランス。 「球体関節人形」と「ゴシック&ロリータ」をモチーフに、個展、作品集、雑誌、などで絵と文章を発表。
関連リンク
Site of TOMIZAKI NORI:http://www.ne.jp/asahi/doll/doll/
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